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主を乗っけていざ帰らん!
馬は、帰巣本能が強い動物なんですって。
遠乗りしていて道に迷った時は、手綱を緩めて行き先を馬に任せると、勝手に家に戻ってくれるそうです。
狭い日本で、帰り道に迷うほど遠くに行けるかどうかはわかりませんが(北海道では原野をさまよえるかもしれない)、馬の帰巣本能がおおいに役立つことがあるみたいですよ。
これは、母方の祖母から聞いた話。

福島県南相馬市(旧・原町市)では、毎年7月に騎馬武者たちが集う伝統の祭り・相馬野馬追(そうまのまおい→公式サイト)が開かれます。
草競馬や神旗争奪などの後、武者達は、祭りの後に食事やお酒ををふるまわれ、疲労と満腹とアルコールの三乗効果で意識が朦朧とし、とりあえず愛馬にまたがりますが、すぐに馬上で眠りこけてしまうそうです。すると馬は、たとえ主(あるじ)が指示を出さなくても帰巣本能を発揮し、鞍上を乗っけてポクポク家まで連れ帰ってくれるとか。祭りの後の何とも微笑ましい光景ですね。
昔は市内や近郊から武者が集まってきたので、こんな様子があちこちで見られたそうです。

馬の目にも涙
馬に関する本を読み漁っていたら、馬も涙を流して泣くということを知りました。
悲しみに打ちひしがれた時。
自分の力及ばず悔しい時。
…そして襲い来る激しい痛みに耐えている時…。
彼らが涙する時の気持ちは、人間のそれと同じですね。
しかし。
「嬉し涙」を流すのはやっぱり人間だけだろう、 そう思っていたのですが、実は違いました。
これは、私の父方の祖母が話してくれた戦争中の話。

祖母の知り合いで、徴兵されて戦地に赴いた男性がいました。
男性の実家は農家なのですが、彼の家の愛馬はすでに軍馬として連れていかれ、日本にいるのか、あるいはアジアのどこかにいるのか全くわからなくなっていました。 男性が配属されたのは騎兵隊。馬を扱う仕事を担当することになったのです。 配属先の厩舎(きゅうしゃ)に行ってみると、妙に見覚えのある馬が。
なんと、どこで任務についているのか、生きているかどうかさえもわからない彼の家の愛馬がそこにいたのです!
男性はとても驚き、また、彼に気づいた愛馬もはらはらと涙をこぼして再会を喜んだということです。

男性は無事に戦地から戻って来たそうですが、馬はどうなったのでしょうか。祖母が亡くなった今となっては確かめようもありませんが、夏、終戦の時期が近付くと、戦火に散ったバロン西やカイソウの悲劇と共に思い出す馬のお話でした。